岸本聡子さんインタビュー(1)|グリーンリカバリーから考える経済と環境の両立
- 2021.07.22
- COLUMN
今回は「Transnational Institute」という国際政策NGOで活動されている、ベルギー在住の岸本聡子さんにお話を伺いました。
コロナ禍で様々なビジネスが影響を受けている中、経済的な復興と同時に環境的な正義も同時に叶えようとするアイデア「グリーンリカバリー」がヨーロッパを中心に注目を集めています。
でも、経済と環境の両立って本当にできるの?
その鍵は「公」。つまり国や政府などの公的な仕組みやお金の流れが重要だと聡子さんは言います。
例えば室内の温度を快適に保つ断熱材は、結果として住人がエアコンを使用する頻度を減らすことができ、CO2を削減する環境対策の一つとして期待されています。
「ただし貧困家庭、例えば移民の家庭や若者などはこのように熱効率が良いとされる整備が整った住宅にはなかなか住めません。つまり、社会的に弱い立場にいる層ほど、環境へより大きなダメージを及ぼしてしまうという現状があるんです。」
ここで重要な役割を果たすのが「公的な資金」によるサポート。市民の税金から集まったお金によって、そのような貧困家庭も環境にやさしい住宅に住めるようにする仕組みがヨーロッパでは増えているそうです。
みんなの社会だからこそ、「みんなで」向き合っていくこと
経済や企業活動だけだと、どうしても「利益を最大化すること」が優先されてしまう。そんな流れが強くなっている今だからこそ、国や政治の「公」の力を借りることで、社会の中で困っている誰かを「みんなで」助けていく。そうすることにより、大きな社会問題や環境問題も同時に解決することができる。聡子さんの力強いメッセージが印象的でした。
Transnational Institute 岸本聡子さん
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◎「マガジン9」 岸本聡子
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◎「コモンズ、公共サービス、デモクラシー」 https://satokokishimoto.wordpress.com/